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ゲーム音楽これを聴け!

わたしは いだいな ぶとうか。 うわさでは すでで くまを たおしたことになっておる。 しかし じつは てつのつめを つかって いたのだよ。 わっはっは。 ゲーム音楽とプログレ、ジャズロックが中心。ドールも始めました。うちのドールが勝手にツイッターで呟いたりしてますので、そちらもよろしく。

 

PSソフト『イバラード~ラピュタの孵る街~』 

井上直久氏の創造した「イバラード」の世界を堪能出来る作品。ジャンルは3Dアドベンチャー。開発はPCゲームで名をはせたシステム・サコム。


プロローグ
(PSソフト『イバラード~ラピュタの孵る町~』取扱説明書より3~4ページを抜粋して掲載しています)


その赤く輝く鉱石(低級シンセスタ)は、時空の溝を通過し、無機的な大都会へと落下していった・・・。

現在よりほんの数年先の近未来。
日本のとある都会。環境の悪化が進み、街角からは緑が姿を消しつつあった。
巨大な団地の一室に暮らしている植物の栽培が趣味の少年は、部屋中を植木鉢で一杯にし、学校へ行く以外はその手入れをすることで毎日を過ごしていた。
その少年の家にあった、一冊の奇妙な本。
出版社も発行日も記されていないその本は、今は亡きお祖父さんから貰ったものだ。
イバラードと呼ばれる架空の世界について書かれたその本の一説にはこう記されていた。

ラピュタの羽化、それは輝く雲や星々のようなものに包まれながら、まるで脱皮するかのように、ラピュタがその姿を変える現象のことを言う。その後に残された「ラピュタのぬけがら」には植物の成長を促す不思議な力がある。ここ、イバラードではそう伝えられている。

少年は手入れをいくらしても弱っていく自分の植物を目の前にし、「本当にそんな国があり、ラピュタのぬけがらといったものがあれば」と願わずに入られなかった。

そんなある日。
少年は学校の帰り道、混雑を避け雑踏から離れた裏通りを歩いている時に奇妙な三人組を見かける。一人の美女に、カエルとモグラの様な姿の人影。
「あれは、本の中に載っていた三人じゃないか・・・・まさか・・・・」
驚いた少年は三人組の後を追う。
するとかすかに空が光り、いつもの見慣れた路面が輝き始める。
少年の気配に気づいた三人組は、歩道から赤く輝く石を手にとると、閃光と共に現れた奇妙な乗り物に乗って姿を消した。

唖然とする少年。
その足元にはもう一つ、青く輝く不思議な鉱石が。
手に取ると鉱石は輝きを増し、もう一台の乗り物を呼び寄せる。
見たこともない、電車のようなその乗り物に、吸い込まれるように少年は乗り込んだ・・・・。


ゲームを起動させると、まずポリゴンによる短いムービーが流れ、イバラードの世界観を伝えるナレーションが流れる。
このナレーションは屋良有作氏。OVA『銀河英雄伝説』シリーズで渋いナレーションを聞かせてくれていた、あの人である。
テレビゲームでも数多くの作品で活躍しており、中でも『スナッチャー』の主役であるギリアン・シード役が心に残っている方も多いだろう。また、洋画の吹き替えにも非常に多数参加されている大ベテランである。一般的にはアニメ『ちびまる子』のさくらヒロシ役で知られている。
さて、短いムービーが終わってタイトル画面に移ると、項目は三つ。NEW GAME、CONTINUE GAME、OPTIONである。
まずここで注意してもらいたいのは、このゲームのセーブ方法である。今のゲームのように親切設計ではない。
ゲームプレイ中にセレクトボタンを押すと、ゲームをつづけるか終了するか、の選択肢があらわれる。まずここで「終了」を選ぶ。その後にタイトル画面に戻り、OPTION項目を選んでSAVEを選ばないと、セーブされないのである。
つまり、「終了」を選んだ時点ではセーブされないので、要注意である。
しかも、途中経過は一切保存されず、またステージの最初から始めなければならないので、少々面倒だ。
とはいえ、ステージ一つ一つは非常に短いので(およそ10~20分程度)、それほどわずらわしいものではない。

ゲーム内容についてだが、これは非常に単純。ポリゴンで作られたイバラードの世界を歩き、必要なアイテムを集めて次のステージへと向かう。ただこれだけである。
謎解きもあることはあるが、ヒントが必要なほどのものではない。アイテム数も少ないので、どこで何を使えばいいか迷うこともないだろう。ゲームが苦手なイバラードファンでも、これは安心してプレイ出来るだろう。逆に、イバラードファンでなければ、とても退屈なゲームとなることは間違い無い。
主人公視点のゲームだが、移動がまず遅い。ダッシュも無い。アクション要素も皆無に近い。ブーメランを投げて敵を倒す場面もあるが、アクション要素と呼べるほどのものでもない。謎解きと呼べるような謎もない。したがって、イバラードが好きな人、イバラードの世界をこれから知りたい人向けであり、単純に「面白いゲーム」がプレイしたい人には決してオススメ出来ないソフトである。
『クーロンズゲート』がクソゲーと思う人なら、まず手を出しても何の意味もないだろう。このゲームは世界観を楽しむものであり、快適なゲームプレイそのものを楽しみたい人には完全に不向きだからである。
ポリゴンで作られた世界を歩くゲームだが、道は一本道で、箱庭のようなだだっ広い世界をわけもわからず歩くようなゲームではない。
どのステージも道が作られていて、迷うことはまず無い。マップもあるにはあるが、ほとんど必要ない。というより、マップを見ても現在地が表示されないので、あまり意味がないのだ。
プレイ時間は、およそ二時間程度か。非常に短い。

しかし、クリアーしてこそ、このゲームの真の価値がある。
オプション項目に二つの項目が増えるのだが、一つはギャラリーの項目。井上直久氏の絵を10枚見ることが出来る。
もう一つはビデオクリップ。これが非常に素晴らしい。
ポリゴンによるビデオクリップで、PS作品のためやや粗いポリゴンなのは致し方ないが、イバラードの世界や、イ・ノナくん、めげゾウなどのキャラクターが現れるのが嬉しい。そして何より、特筆すべきなのはそのボーカル曲である。
「RU-KA」という楽曲で、ボーカルはモデルとしても活躍している小田木望。作曲は井上鑑という大御所である。
まるで日本版エンヤのような透き通った歌声と、ヒーリング効果の高いニューエイジ系の音楽が絶妙に合わさり、イバラードの世界を描き出している。

↓こちらがそのビデオクリップ。この動画ではそのあとにオープニングムービーを繋げている(屋良氏のナレーションが流れる部分がオープニングムービー)。いつまでも聴いていたくなるような、美しく壮大な歌である。


途中の歌詞「サイヤ、ルカ、シュウム、スィリ、アイヤ」という不思議な歌詞にお気づきかと思うが、これは造語ではなくなんと日本語である。
漢字表記すると「彩野、流花、秋夢、翠里、藍夜」となり、それぞれがイバラードの美しい色彩感覚を表しているのだ。
井上鑑氏の作詞者としての才能が発揮された、非常に優れた歌詞である。それがまるで異国の言葉のように聞こえ、幻想的な音を作り出している。表記だけでなく、発音上も美しい響きを得ることに成功しているという点が非常に素晴らしく、う~ん・・・上手い!!と唸らざるを得ない。

さて、この素晴らしい楽曲が収録されているCDは二つ。
一つはシングルCD『Horizonte』。「Horizonte」は三菱自動車「LEGNUM」のCM曲として使用された楽曲。そのカップリング曲として「RU-KA」が収録されている。
HorizonteHorizonte
(1997/09/26)
小田木望

商品詳細を見る


もう一つは小田木望のアルバム『Lykaris(リュカリス)』。
リュカリスリュカリス
(1997/12/03)
小田木望

商品詳細を見る


「RU-KA」を聴くだけなら、どちらを購入しても同じである。ただ、「RU-KA」以外の楽曲も穏やかで透き通ったヒーリング効果の高い楽曲が揃っているので、彼女のボーカルが気に入った人ならば両方購入することをオススメする。
また、シングルCDには『Lykaris』には収録されていない「Horizonte(Chih-ei-sen Ver.)」が収録されている。スウェーデン語で歌われているこの楽曲は『Lykaris』収録の日本語で歌われている「Horizonte」とは異なるアレンジが施されており、非常に素晴らしい。「RU-KA」が気に入ったのならオススメの楽曲である。

↓当時のレグナムのCM。ここで流れている楽曲が「Horizonte(Chi-hei-sen ver.)」である。シングルCDのみに収録。


また、シングルCDの裏ジャケットに井上直久氏の絵(PSソフトのジャケットと同じ絵)が使われているので、ファンは要チェックだ。

サウンドトラックも発売されたが、残念ながら廃盤で手に入らない。販売数も相当少ないようで、滅多にお目にかかれない希少品となっている。
イバラード~ラピュタの孵る街イバラード~ラピュタの孵る街
(1997/11/19)
ゲーム・ミュージック

商品詳細を見る


こちらのサウンドトラックにはゲーム内の楽曲のみが収録されており「RU-KA」は収録されていない。
音楽担当は神保直明氏。
システムサコムに所属していた作曲家で、現在はフリーランスのゲーム音楽作曲家として精力的に活動している。
最近作はPC、PSVita、XBOX360で展開した『剣の街の異邦人』。
この作品に限らずエクスペリエンス開発のソフトでは常連の作曲家であり、『デモンゲイズ』『迷宮のクロスブラッド』『円卓の生徒』なども神保氏である。
『イバラード~ラピュタの孵る街~』はアンビエント系というか、環境系、空間演出系の音楽でありながら、優しく神秘的なメロディが聞こえてくるのが、いかにもゲーム音楽家らしい楽曲である。
ぜひイバラードの画集を眺めながら聴いていたい楽曲ばかりである。

では、最初のステージ「市電の森」を紹介しよう。
街中で電車のような乗り物にのって、イバラードへとたどり着いた主人公だが、何をすればよいのかわからない。
ひとまずはふらふらと森の中をさまようと、動く巨大な石を発見。
近づくと気力を奪われてしまうので、触れないように慎重に森を進む。このゲームでは体力ではなく、気力である。気力回復アイテムは行く先々に落ちているので、それを拾って回復する。
巨大な石を避けながら細い道を入ると、宙に浮かぶイカがいる。触れようとすると逃げていくので、追うと三日月が木にぶら下がっている。
この時点ではまだ取れないので、さらに森を歩くと、奥に小屋を発見する。
中に入ると、あのモグラのような姿の人物があらわれた。
彼はスコッペロといい、どうやら魔法使いのようだ。
彼が言うには「ラピュタの羽化について知りたいなら、河向こうに住んでいるメーキンソーに会いに行くといい」とのこと。
彼から鉱石型の青い切符をもらい、小屋にあったブーメランを入手する。先ほど木にひっかかっていた三日月にあてると、ぽろりと落ちてくるのでそれを入手。
途中で小さな家のような模型があるので、それを動かすと連動して道を邪魔していた家が動くので、道を通れるようになる。
そのまま先へ行くと、動く石がまたもや邪魔してくる。ここで三日月の模様のある台座らしきものがあるので、そこで先ほど入手した三日月を使うと、石たちがたくさんかけつけて、向こう岸への橋をかけてくれる。
それを渡って駅へ向かい、青い鉱石型の切符を使って次のステージ「メーキンソーの小屋」へと向かう。

各ステージはほぼこのような流れで、アイテムを集めて切符(後半はエアシップの燃料)を手に入れて次のステージへ向かう、といった具合だ。

主人公の目標は、ラピュタの羽化を実現し、次元の境目を出現させて、ラピュタのぬけがらを元の世界へと持ち帰ること。
ところが、ラピュタの羽化を悪用して巨大なめげゾウを出現させ、ニーニャたち魔法使いの力を失わせようとたくらんでいる「タカツング」という国の人間たちが邪魔をしてくるので、主人公はニーニャたちと行動を共にし、ラピュタの羽化に必要な鉱石を集めることになるのだ。
イバラードの世界を歩くだけでなく、ちょっとした冒険が加味されているのが良い。ただ、物語としてはあまりに単純すぎるので、何度もプレイしたくなるようなものではない。筆者のように、イバラードの世界を知るきっかけとしては十分だろうとは思う。

ただのアドベンチャーゲーム作品としては全くオススメ出来ないが、このような魅力的な世界があることを知るよい機会とはなると思う。
プレイ後は、ぜひとも井上直久氏の作品に触れ、その広大なイバラードの世界を堪能してみて欲しい。きっと、未知なる刺激が待っているはずだから。
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Category: ナツゲーセレクション

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コメント

いか

シンセスタ、ラピュタの羽化、宙に浮かぶイカ、巨大めげゾウ、市電にエアシップ…。
イバラードですね!
まさにイバラード!
イカがでてくるとはわかってらっしゃる。
私も市電に乗ってモズメ商店街に行きたいです。小さな土星を買って、漂う金魚を横目で見ながら、夜空屋に向かうのです。

それから、RU-kAという曲の歌詞にびっくりしました。
「彩野、流花、秋夢、翠里、藍夜」なんて、
こんなにもイバラードを表す言葉があるでしょうか。
彩野、流花はあの独特の色彩を表しているし、秋夢、翠里、藍夜も、その対応する風景が目に浮かびます。
造語であること、まるで異国語のように聞こえること、でも素敵な意味を持っていること。知らないのに懐かしい、イバラードの風景に、とってもぴったりだと思います。

もう、
プレイステーションができる環境を整えようかしら。
クーロンズゲートもできますし!

つぉむ #- | URL | 2014/10/20 05:15 [edit]

Re: いか

つぉむさん、毎度どうも!カシマでございま~す!お魚くわえた…♪いや何でもないです。

Youtubeでムービーを見て、まずこの「RU-KA」に強く魅かれて、すぐさまCDとゲームソフトを購入した次第です。本当にねえ、この歌詞が凄く良いんですね。
ゲーム音楽紹介してるとこでもこの作品に触れてるとこなんてまずないですから、マイナー嗜好のわがブログの面目躍如といったところですね(笑)。わはは、俺の勝ちだ!!私は誰に勝ったんでしょう。

PSのイバラード、結構面白かったのですが、残念なのは自由度の低さ。これだけ魅力的な世界なのですから、やっぱりもっと色々な場所に行きたかったですねえ。
市電に乗ったりエアシップに乗ったりは出来ますけど、好きな目的地に行けるってわけじゃないので、そこが残念です。
また、商店街に行ってもどこにも入れないので、ちょっと寂しいです。
私のようなイバラード初心者には、作品の世界観を知るいいきっかけになりましたけど、イバラードの達人であるつぉむさんにはちょっと物足りないかも、なんて思います。

もし今の技術でゲーム化してもらったら、それはもう素晴らしい風景の中を自由に散策出来るんでしょうね。例えば、オンラインでイバラードで生活出来るゲームなんてあったら最高なんですけどね。まあ帰ってこられなくなるっていう危険が伴いますけど(笑)。

さて、うちではPSソフトをプレイする時は主にPSPを使ってます。PS2と初代のPSもまだありますけど、据え置き型のゲーム機は起動がめんどくさいのでPSPでやってます。
手持ちのPSPをあ~やってこ~やっていじくりまわして、PSソフトをプレイ出来るようにしちゃいました。
持ち運びが便利なので、重宝してます。イバラードもこれでプレイしましたし。
もちろん、クーロンズゲートもPSPでプレイです。あの世界を持ち運び出来るなんて、なんて幸せ!いつでもあの陰界へと突入出来るので、PSPはいつも持ち歩いてます。
もう陰界とイバラードを行ったり来たりで、なかなか戻ってこられません。どうしましょう?(笑)。

カシマ #- | URL | 2014/10/21 12:56 [edit]

柔らかなメロディーに、豊かな色彩を呼び起こす歌詞をのせた楽曲「RU-KA」…
この穏やかで懐かしい感覚は、まさにイバラードでした。
音楽も含め、独自の世界を纏った作品には、どこか人を魅了する引力のようなものがありますね。
エンヤさんのような、との本文からは、ブック オブ ウォーターマークスにて
モイヤ・ブレナンさんが歌う「Kiss The Book」など連想してしまいました。

快適さを楽しむゲームでは無いとのお話でしたが
他にも音楽、画集、漫画、小説、映像 等々に接するとき
漠然とでも、自分が何を求めているのかを認識しているか、いないかで
得られるものは全く異なってきそうです。

上記のような、様々な媒体を通してお気に入りの想像の種を取り入れる事が可能な現在。
イバラードからクーロンズゲートまで、そうと望んで思いを馳せれば
いつでも自由な世界を訪れることができる…身に余るほどの贅沢でもありますね。

本ブログにて発信される未知なる刺激にも、改めてお礼申し上げます。
この度も長文、失礼しました。

パトラッシュ #Uh60rX9Y | URL | 2014/10/23 02:28 [edit]

Re: タイトルなし

あ、そうだ!BOOK OF WATERMARKS!
RU-KAを聴いてなんかに雰囲気が似てるよなあ~なんて思っていたので、すっきりしました。それだ、モイヤだ(笑)。エンヤなんてロクに聴いてやしないのに(笑)。
いい加減だなあ、俺。

日本語歌詞でヒーリング系って結構あると思いますけど、RU-KAは上手いですね。歌詞がイバラードにぴったりの美しい音と言葉で、やたら民族色っぽくもなくて。
ケルトが入ってくるとザバダックみたいな感じになりそうです。

歌手の小田木望という人も初めて知りましたが、今はなんか幸運引き寄せ師?とか言ってます。モデルとコマーシャルソングもやってるみたいですけど、ブログ見てちょっと引いてしまいました(笑)。壮絶な人生を送っておられるようです。あんな美しい歌声の裏には物凄い経験があるんですね…。
声は非常に好きなので、またアルバム出してくれないかなあと思ってます。

カシマ #- | URL | 2014/10/23 15:49 [edit]

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