09 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 11

ゲーム音楽これを聴け!

わたしは いだいな ぶとうか。 うわさでは すでで くまを たおしたことになっておる。 しかし じつは てつのつめを つかって いたのだよ。 わっはっは。 ゲーム音楽とプログレ、ジャズロックが中心。ドールも始めました。うちのドールが勝手にツイッターで呟いたりしてますので、そちらもよろしく。

 

夢管理局 保存課 資料室より-資料ナンバー20060903 

僕はその時、今日泊まる場所を探して、ぶらぶらと歩いていた。
自分の育った街なのだけれど、何故か今日は違った風景に見える。何故だろう、僕の知っている街とは違う、何かが違う。
僕の服装はいつもの通りで、ジーンズに青いシャツ、それに愛用のバッグを肩にかけている。バッグには「アルピニスト」なんて書いてあるけれど、実際に山登りに使ったことなんてなかった。
普段から見慣れているはずの、急な坂道を登る。ここはいつもなら結構な車が通るのだけれど、一台の車も見当たらない。
「疲れてきたなあ…」
いい加減歩き疲れてきた。そうこうしているうちにも、辺りは夕方から夜へと向かいつつあった。
どこかにいい宿泊施設はないのか。
ふと、通りの喫茶店が目についた。
(あれ、こんなところに喫茶店なんて…?)
見覚えなど無かった。だが、新しく建ったわけでもないらしいことは、外見を見ればわかる。
(仕方が無い、喫茶店で夜を明かすか)
などとも思ったが、あいにく店には「Closed」の札がかかっている。休業日なのだろうか。それとも、既に廃業しているのか。
急に、僕の体にどっと疲れが押し寄せてきた。とにかく、休みたい。だけど、ここいら辺に宿なんてあったかな。宿が無いことはわかりきっているはずなのに、僕は宿を探して坂道を上る。
坂を上りきると、そこには暗い森が広がっていた。日は完全に沈んでいる。
この先に宿なんてあるのだろうか、そう思って数歩足を踏み出した、その時だった。
音もなく、洋館が僕の前に姿を現したのだ。そう表現する以外に言葉が見つからない。これほど大きな建物なのに、何故すぐに気が付かなかったのだろう。「見つけた」というよりも、向こうから「現れた」という感覚。そんな感じがぴったりくるような、不思議な洋館だった。一階建てではあるけれど屋根が高く、人が住むには天井が高すぎるのでは、と思った。
近づいて見ると、随分とぼろぼろの屋敷だった。昔は立派なものだったのだろうが、今はすっかり朽ち果てて、虫食いだらけの扉に閉ざされている。
ノックをすると壊れてしまうのではないか、と心配になる。だが、明かりがついているので、人が住んでいるらしいことはわかった。それなら、そんなにすぐに壊れる扉を放っておくはずはないだろう。
…例外はあるかもしれないけど。
とにかく、僕はもうここに泊めてもらうことに決めていた。誠に勝手な話だが、他に泊めてくれるような家や施設が見当たらないのだから、しょうがない。
ノックをしようと手を上げた瞬間。
ギィー……とお約束のような軋み音を上げて、扉がゆっくりと開かれた。しかし、まさか向こうから開けてくれるとは思っていなかったので、少々面食らった。
中からは、大柄な男が扉の隙間からこちらを覗いていた。
…失礼なことだが、少々気味が悪い。
「あの…」
僕が言い終える前に、彼は扉を大きく開き、手を開いて屋敷の中を指し示した。中に入れ、ということだろうか。僕は困惑しながらも、恐る恐る、歩を進める。こうなったら、入るしかないではないか。洋館なので、土足のまま上がった。
彼はこういう事態に慣れているのだろうか、一言も喋ることなく、僕をある一室へと通した。その部屋へ向う途中の廊下で何部屋か通り過ぎたのだが、室内はどれもぼろぼろで、窓が叩き割れているような、ひどい有様だった。豪華な革張りの椅子も、高そうな絨毯も、見る影もなく無残に打ち捨てられている。テレビのようなものも見えたが、これも画面が割れていてとても見られるような状態ではない。
案内された部屋はごく普通の部屋だった。特別豪華な部屋でもなければ、特別粗末な部屋でもない。板張りの床に、木製の机、その隣には木製の棚が置いてあった。全体的に無機質で、飾り気が全く無い。
ただ、部屋の形が妙だった。長方形なのである。まるで、広い廊下を改造して部屋に仕立て上げたかのようだった。奥行きは普通の部屋と変わらないだけに、違和感を覚えた。
背後で扉がしまる。結局、あの大柄な男は喋らずじまいだった。
しかし…あの大男の醜悪な顔といったら!
どんな風に生活すれば、あそこまで醜い顔が生まれるのだろうか?「フランケンシュタイン博士の人造人間」などという表現はまことに月並みな言葉だが、それ以外の言葉が当てはまらないほど、容貌怪異だった。
身長はゆうに2メートルを超えているだろう。広い肩幅、長い手足で、両手をだらんと垂れ下げてのっそりと歩く。いや、歩くというより「徘徊」という方がぴったりきそうだ。
髪の毛は何日も洗っていないらしく、薄汚い。ちりちりのパーマが無造作に伸びていて、不潔なことこの上ない。だが、服装だけは真っ黒なスーツ姿で、おろしたてのように綺麗だった。
一体年齢はいくつなのだろうか。顔が黒いので黒人であることは確かだが、薄い明かりのせいで皺などがよくわからなかった。でも、50はとっくに超えているような、節くれだった、がっちりとした手だったことは確かだ。
とにかく、あの顔はもう見たくない。悪い夢を見そうだ。個々の部分を表現出来ない顔、とでも言おうか、特徴があるようで、全く無い。もしかしたら、人間ではないのかもしれない。

ふと、僕は目を覚ました。今何時くらいなのだろうか。
時計を持っていなかったのでわからないが、深夜であることは間違いないのだろう。辺りは静寂に包まれていて、虫の鳴き声もしない。
そこで、僕は奇妙な衝動にかられた。
この屋敷を、探索したい、と。
いや、別に奇妙な衝動ではないのかも知れない。こんな得体の知れない屋敷にいれば、誰でも興味を持つに違いない。少なくとも僕の場合は、恐怖心より好奇心が勝ることの方が多い。
そっと部屋を抜け出して、廊下を窺う。
小さな明り取りの窓から月光が差し込んでいるだけで、電気の明かりなどない。スイッチらしきものも見当たらない。そもそも電気が通っているかどうかも疑わしい。
軋む廊下を、なるべく音を立てないように進む。
だが、どれも廃墟のような部屋ばかりで、この屋敷のことがわかるようなものなど見つからない。
とうとう玄関の近くまで来てしまった。このあたりにあの大男がいる部屋があるのだろうか。
そう思って玄関の周辺を見渡すと、ぼんやりと木製の扉が見えた。そこは、最初にこの洋館を見つけた時に目に入った、明かりの漏れていた部屋だった。今は真っ暗だ。
大男の部屋かもしれないし、そうではないかもしれない。仮に彼の部屋だったのなら、謝って去ればいいだろう。トイレはどこか、とか何とか言って引き返せばいい。
手をかけると、あっさりと扉は開いた。軋む音もせず、すんなりと、まるで扉が自動的に開いたかのようだった。
すると、中は電気が点いていた。木製の机に備え付けられた電球が点いているようだ。それでも十分な明るさだ。
大体、僕の寝ていた部屋と同じようなつくりだった。細長い部屋に、木製の机、その隣の木製の棚。ただ、ベッドが置けるほど大きな部屋ではなかった。いや、狭いといった方がいいだろう。人一人が机の前に座ると、もうそれだけで奥の方には進めない。
ここは、書斎なのだろうか?
小さい本棚付きの机には、ぼろぼろの紙切れが散乱している。その隣の棚にはガラス戸が備え付けられていた。そちらに興味を持った僕は、まずガラス戸を開けることにした。
埃がたかっていて、人が使っているような形跡はない。清掃も行き届いていない。だから、他人の部屋を勝手に荒らすような感覚が無かった。
ガラス戸の中を見て、ぎょっとする。
一本の注射器が、ビーカーの中に突き刺さっている。中には、緑色のどろどろとした液体が残っていた。他にもフラスコやシャーレなどがバラバラに置いてあるが、どれも割れていて埃をかぶっており、使い物にならない。
注射器を手に取ると、マジックか何かで小さく文字が書かれていた。この液体の名前なのだろうか。
『ERP』
少しかすれているが、はっきりとそう読める。
注射器を元に戻して、ガラス戸を閉める。病原菌か何かだったら危険だし、これ以上いじるのはまずい。
さらに部屋の奥の方を見ると、大きな檻が一つと、小動物が入るくらいの小さな檻が二つ置いてあった。中には毛布のようなものが敷かれている。
注意して見てみる。
(……ここは一体、何の部屋なんだ)
そう思わずにはいられなかった。何故なら、その毛布には乾いた血液が大量に付着していたからだ。よく見ると檻にも血液が付着している。
気分が悪い。ここが、ひどく異常な、狂気じみた部屋に見えてくる。
もう出ようかと出口に向うが、机の上の紙切れに目が止まった。
『ERP』
レポート用紙のような薄っぺらい紙に、ただその文字だけが書かれている。急いでいたのか、走り書きだった。年数が経っているらしく、黄色に変色していて、汚れがひどい。血のようなものまでついている。
見てはいけないものを見てしまったように思う。だが、一度知ってしまったら、もう後戻りは出来ない。行き着くところまで行かなければ、湧き上がった好奇心を抑えることは出来そうになかった。
僕は、そのレポート用紙を手に取った。すると、その下に日記帳のようなものが隠れていた。もともとは赤い表紙だったのだろうが、汚れと年数のおかげで茶色に変色してしまっている。端が紐で閉じてある、古い形の日記帳だった。
その表紙にも、やはり『ERP』と小さく書かれていた。
僕ははやる気持ちを抑えながら、ページをめくった。

…日記には、延々と実験の記録が書かれていた。どうやら、二匹の猿を実験動物にして、ある薬品の研究をしていたみたいだ。そのことが日付とともに、事細かに書き記されている。
奇妙なのは、ページをめくればめくるほど、ページに汚れが目立つようになっていったことだ。半分ほど読み進んだところなど、素手で掴むのがためらわれるほどだった。

…読み進めていくうちに、あることに気が付いた。この日記の書き手、つまり実験を行っていた人物が、実験動物たちのことを「猿ども」と呼んでいることだ。動物嫌いなのかもしれないが、普通はこんな呼び方をしないと思う。

…この人物は、一応博士なのだそうだ。妻と一緒に、この屋敷で猿を相手に実験を繰り返していたようだ。そして、一人の執事を雇っていたらしい。
もしかしたら、あの容貌怪異な大男が、その執事なのかもしれない。だが、今は朽ち果ててしまってはいるが、昔は豪華だったであろう、この屋敷の様子を想像してみると、どうしてもあの大男は似合わない。彼は一体何者なのだろうか?
さらに読み進むと、驚くべきことが書かれてあった。それは、実験動物達が「知恵」を持ったということだった。その薬の影響なのかどうかはわからない。だが、次第に博士たちの言うことや、やっていることを理解してきたらしく、しぐさも人間のそれに近くなっていったという。

…そして、彼は恐怖を感じて実験動物を殺してしまった。だが、実験は続けたい。そこで、彼はついに自分の妻を実験台にしてしまう。
完成した薬品「ERP」を、妻に注射する。そして、実験はどうやら成功したらしい。感極まった様子が、日記にありありと書かれてあった。激しく、殴り書きで実験の成功を祝う言葉が書き連ねてあった。
だが、その結果についての詳細が記されていない。この先に書かれているのだろうか。
次をめくると、もうページは得体の知れない黒い汚れだらけで、なんとも読みづらかった。読もうとしても、全くわからない。
さらに次のページをめくった。
あやうく、日記を取り落としそうになった。
僕の背筋が凍りつき、ショックで手が震えている。
そのページが、真っ赤に染まっていたからだった。指先に僅かに赤いものがつく。
血、だろうか。もしかしたらペンキかも知れない、そう思ったのだが、この黒ずんだ液体は、檻の中にあった毛布に付着していたものと同じものに見える。だが、こちらの方がまだ新しいようだ。
そこで日記は終わっていた。ページ数も尽きていた。
(ここで、何があったんだろう)
やはり、恐怖よりも好奇心が勝つ。そもそも、何の目的で実験をしていたのだろうか。しかも、こんな屋敷で、妻と二人で。
さっぱりわからない。あの薬品は、どういう効果があるのだろうか。そして、博士たちはどこへ行ったのだろうか?執事はどこへ?
多くの疑問が残るが、これ以上は調べようが無い。
僕は、そっと部屋を出ると、もといた寝室へと引き返した。

…僕は夢をみた。あの日記の内容を追体験している。まるで、映画を見ているような感覚だった。
初めは、博士たちは順調に実験しているように見える。しかし、次第に様子が変わってくる。


やめろ!やめてくれ!
檻の中にいる博士の叫び声は、彼らには届かない。
妻は木製の椅子に縛られており、全く動かない。何か薬を投与されたのか、何の反応も示さない。
だが、目はカッと見開いたままだった。
そして、注射器に緑色の液体が注入される。
やめてくれ!やめてくれ!
博士の叫びは空しく響くだけだった。
彼らは、容赦なく、妻に薬品を注射した。
ずぶり、と眉間に注射針が突き刺さった。一瞬、びくり、と体が飛び跳ねた。
普通の注射器よりも倍以上に長い針が、するすると目の間に突き刺さっていく。だが、血は一滴も流れない。
そして、その薬品「ERP」を投与した瞬間、博士の妻は動きを止めた。目を見開いたまま、まるで時間が止まったように。
人形のように無表情のまま、彼女は二度と動くことはなかった。
博士は、檻の中でがっくりとうなだれた。
次の瞬間、博士は猛烈に日記帳に鉛筆を走らせた。
彼の目は、すでに正気ではなかった。妻の死によって、彼は狂気に取り付かれてしまったようだった。
そう。
全ての実験は、彼らではなく、知恵をつけた猿たちによって行われたのだった。自分たちの見下していた「猿ども」によって。
そのことが、博士には耐えられなかったのだ。

あんな猿どもに私が利用されるなど、あってはならないのだ!

博士は、全てを自分が行ったこととして、日記に書き記していった。そして、博士は現実と妄想の区別がつかなくなっていった。いつしか、日記の中のことが博士にとっての「現実」になっていったのだ。


僕は、ぼんやりと目を覚ました。しばらく、夢うつつで、上体を起こす。
もう、朝の光が差し込んでいる。
夢…なのか?
わからなくなるほど、実感のある夢だった。匂いや音や声、それら全てが実際に体験していたかのように、生々しく感じられた。
気分が悪い。
…もう、ここを出よう。
僕は荷物をまとめると、廊下に出た。
こうして明るい日の光の下で改めて見ると、ここがいかに廃墟然としているかがわかる。普通に生活しているようには、到底見えない。
とにかく、あの大男に一言お礼を言わなければ。
だが、彼はどこにもいなかった。ぼろぼろの部屋を一つ一つ探して見たが、誰もいない。
最後に、玄関の近くの部屋に入った。日記のあった部屋ではなく、その向かい側の、割れたテレビが置いてある部屋だ。
しかし、そこにも誰もいない。天井からは水が滴っている。外へ通じている大きなガラス戸もあったが、近寄ると怪我をしそうな割れ方をしていた。
この部屋は随分と広かった。しかも、正方形の普通の形の部屋だ。
ぼろぼろでカビだらけの部屋の中央に、壊れたロッキングチェアーが置いてあった。
その背もたれには、昨日、あの大男が来ていた黒いスーツがかけてあった。
ロッキングチェアーが風に揺れて、ぎしぎしと音を立てている。
茶色い毛のようなものが光に照らされて、スーツの上に綿ぼこりのようにのっていた。

その様子を見て、僕は得体の知れない恐怖を覚え、一目散に屋敷を飛び出した。



~夢管理局 管理課 資料室長 加島 記す~
この夢は、今から10年ほど前にある一般男性が見た夢であり、その当時に彼によって詳細に記されたものである。
夢の中のERPという薬品について調べたが、そのような薬品は実在しなかった。
しかしながら、IT関連の用語でERPというものが存在する。


ERPとは「Enterprise Resource Planning」の頭文字をとったもので、企業の持つ様々な資源(人材、資金、設備、資材、情報など)を統合的に管理・配分し、業務の効率化や経営の全体最適を目指す手法のことを言う。また、そのために導入・利用される統合型(業務横断型)業務ソフトウェアパッケージ(ERPパッケージ)のこと。
調達・購買、製造・生産、物流・在庫管理、販売、人事・給与、財務・会計など、企業を構成する様々な部門・業務の扱う資源を統一的・一元的に管理することで、部門ごとの部分最適化による非効率を排除したり、調達と生産、生産と販売など互いに関連する各業務を円滑に連携・連結したりする。
ERPパッケージはERPを実現するために導入される情報システムで、前掲の様々な業務に対応したシステムが一つにパッケージされた大規模なソフトウェアとなっている。これを全社的に導入することにより、部門間の即時の情報共有や密な連携が可能となる。

IT用語辞典(http://e-words.jp)より抜粋


ということは、彼の夢の中で博士の妻が注射された薬品「ERP」とは、人体に対する「ERP」だったのではないだろうか。
つまり、脳内にこれを注射することにより、人体各部動作の最適化をする薬品、ということである。
注射後に彼の妻が一切の動作を止めたのは、パソコンでいうところの「再起動」の状態であったのではないか。
だが、その後の博士夫妻や実験動物たち、そして執事のことが全く記録にないところから、これらの判断は推量の域を出ないものである。
なお、その彼に聞いてみたが「ERP」なるIT用語についての知識は全くなかった、ということを付け加えておく。


―以上の文章は、およそ10年以上前に当ブログ管理人カシマが実際に見た夢を、当時その内容を詳細に書き残しておいた鉛筆書きのメモを元に、読みやすく文章化し、加筆、修正したものである。従って、このような夢を体験したということは事実であるから、これはノンフィクション作品であると言えるだろう。


文責:カシマ
スポンサーサイト

Category: 夢日記

tb 0 : cm 0   

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://kashimasan.blog66.fc2.com/tb.php/1249-66a5d27c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)