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ゲーム音楽これを聴け!

わたしは いだいな ぶとうか。 うわさでは すでで くまを たおしたことになっておる。 しかし じつは てつのつめを つかって いたのだよ。 わっはっは。 ゲーム音楽とプログレ、ジャズロックが中心。ドールも始めました。うちのドールが勝手にツイッターで呟いたりしてますので、そちらもよろしく。

 

難波弘之『銀河ネットワークで歌を歌ったクジラ』初CD化 

難波弘之が制作したイメージアルバム『真・幻魔大戦』『グリーンレクイエム』に続き3作品目となった『銀河ネットワークで歌を歌ったクジラ』。
これまで、2001年に発売されたSense of Wonderのベスト盤『2001:A WONDER ODYSSEY BEST OF HIROYUKI NAMBA&SENSE OF WONDER』にたった1曲「一人で歩いていった猫」が収録されたのみで永らく廃盤であったが、この度ようやく復刻。85年発売から28年もの歳月が流れ、やっと初CD化である。ベスト盤から数えても実に12年。これで難波弘之のてがけたイメージアルバム全3作が出揃ったわけである。難波弘之、SENSE OF WONDERファンとして感無量である。

今回、初めて全ての楽曲を聴いた。
一言で言って「プログレッシヴ・ロック」、である。いつ聴いても全く色あせない美しいメロディと、グルーブ感満載のベースとドラム、きらびやかなキーボード…。複雑でありながらシンプル。シンプルに聴こえながらも奥深い。そして、アルバムの中の1曲だけが目立つというのではなく、アルバムそのものが光を放つ。これこそがプログレッシヴ・ロックなのである。
優れたプログレッシヴ・ロックとは、やはりいつ聴いても色あせず、常に新鮮な音楽であるのだ。過去のプログレッシヴ・ロックと呼ばれたバンドの特徴の上澄みだけをさらって「プログレッシヴ・ロック」という大量生産品用シールを自ら貼り付けて「私はプログレです」と自己主張するだけなら誰だって出来る。そしてそれは”猿真似”と呼ばれるものだ。そこに音楽の鮮度は存在出来ない。
もちろん、本作はそのようなまがいものではない。メロディに説得力がある。音に輝きがある。夢幻の美しさがある。過去にも未来にもとらわれない、悠久の時間がある。だからいついかなる時代に聴いても、その音色は光り輝くのだ。心を打つのだ。28年もの長い年月を隔ててもなお、新鮮に響くのだ。

さて、イメージアルバム3作品の中で、この作品だけが他とちょっと違う色を持っているのだが、それはSENSE OF WONDERでありながら一つもボーカル曲がない点、また一部ギターを使っているという点、さらに原作者である大原まり子本人が作曲、演奏に参加しているという3点である。
SENSE OF WONDERはご存知の通り「ポップ・プログレ」を目指し、複雑怪奇で前衛的にすぎるプログレではなく、かといって聞き流されてしまうようなポップスとも言いがたい、その中間を目指した音楽である。いわば「聞きやすいプログレ」と言ってもいいかもしれない。それがSENSE OF WONDERのボーカル曲によく現れている。
しかし、それゆえにプログレファンからは敬遠され、ポップスファンからは理解されず、なかなか世間をにぎわすこともなく今日に至っている。しかしながら、プログレであろうがポップスであろうが、優れた音楽に素直に耳を傾けることの出来る音楽好きならば、その素晴らしさに気づくと思う。
少々脱線した。
まずSENSE OF WONDERのアルバムで全曲通してボーカル曲が無いというのは珍しい。珍しいというか本作しかない。ゆえに、彼らの演奏の素晴らしさを十分堪能出来るだろう。
ギターを使っているのも非常に珍しい。難波弘之の他作品では決して珍しくはないが、SENSE OF WONDERとなれば話は別である。『真・幻魔大戦』ライナーにて「SENSE OF WONDERはギターレスでやっていく」と書かれてもいる。
だが本作では、2曲目「地球の森の精」、6曲目「アムビヴァレンスの秋」で登場する。「地球の森の精」ではアコースティックギターとエレキギターが登場し、ややピンクフロイド風の楽曲を展開している。「アムビヴァレンスの秋」もややピンクフロイド風の楽曲にオルガン・ハードロックな展開を盛り込んでいる。だが、紛れも無くSENSE OF WONDERである。美しいピアノの音が流れてくると「ああ、難波さんらしいなあ」と思わず微笑んでしまう。ここで、どんどん内省的に暗く沈んで静寂が訪れてしまうとピンクフロイドの模倣になってしまいかねないが、そうはならないところに難波さんらしい美学を感じる。
また、どちらの楽曲も、ギターを入れたからといって終始ギャンギャンギターがうなるわけではなく、やや控えめに、けれど効果的にギターが入ってくる。この引き具合がいかにもSENSE OF WONDERらしい品の良さである。本作がSENSE OF WONDERのバンドとしてのオリジナル作品ではないからこそのギターの使用だったのだろう。あくまで大原まり子の作品を音でイメージするにあたり、必要だったから使用したのだと思われる。
そして、大原まり子の参加である。原作者が参加、となると難波弘之も参加したOVA『女神転生』において、原作者の西谷史が参加していたことを思い出す。
大原まり子の楽曲は全9曲中4曲。約半分である。どれも3分程度の短い楽曲だが、小説とともに聴くと非常に面白い。
文章表現とは全く異なるもう一つの表現として、作家性よりも大原まり子の人間性が現れているように思える。音楽とは文章表現よりももっと直接的に、人間の感覚に訴えてくるものだからである。文章で「私はこういう人間です」といくら書いても書ききれないものが、言葉に出来ない幾多のものが、音楽となって体に流れてくるのである。

『真・幻魔大戦』は壮大、華麗な楽曲が特徴的であり、『グリーン・レクイエム』は美しくも悲しく、暖かな音楽が特徴的であったが、『銀河ネットワークで歌を歌ったクジラ』は人懐っこいというか、よりポップでいつでも聴きたいような楽曲が特徴的である。それはやはり原作者の手による楽曲とSENSE OF WONDERのポップな性質が上手く融合したおかげであろう。こういうことはあまり、ない。
キングクリムゾン、イエス、ピンクフロイド、EL&P、ジェネシス、PFMのようなとんでもなく大げさな音楽ではない。あくまで”さりげなく凝っている”という日本特有の、引き算の出来た作品である。金庫に大事にしまったり祭壇を作って神様だと祭り上げるような歴史的名盤ではないが、自分にとっては「持っておくといいことあるよ」というぐらいの、いつでも身につけておきたい愛用の小物のような、そんな愛くるしい作品である。

↓本アルバムに収録されている「一人で歩いていった猫」。シンプルながらも美しいメロディに注目して欲しい。これぞプログレ。

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Category: プログレッシヴ・ロック

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