09 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 11

ゲーム音楽これを聴け!

わたしは いだいな ぶとうか。 うわさでは すでで くまを たおしたことになっておる。 しかし じつは てつのつめを つかって いたのだよ。 わっはっは。 ゲーム音楽とプログレ、ジャズロックが中心。ドールも始めました。うちのドールが勝手にツイッターで呟いたりしてますので、そちらもよろしく。

 

August唯一のアルバム『8月の印象』 

本日ご紹介するのは、日本のプログレッシヴ・ロックバンド「August」唯一のアルバム『8月の印象』です。
先日、ディスクユニオンで運良く手に入りました。

メンバーは、以下の5人。
ギター:河合良典
ドラム:西田等
ボーカル:工藤美鈴
ベース、アコースティックギター:菅野壮
キーボード:高田礼人

とにかく、まずは聞いていただきましょう。
Youtubeにはなかったので、ニコニコ動画で。

1990年発売のAugustのアルバム『8月の印象』



そしてこちらは、『8月の印象』発売前の1989年にカセットテープで発表されたいう貴重音源。


レーベルは、日本プログレリリースでお馴染み、MADE IN JAPAN RECORDS。CD帯を見ると、同時発売はアウターリミッツの『ペール・ブルーの情景』、ヴァーミリオン・サンズの『ウォーター・ブルー』、ホワイト・ファングの『クリムゾン・ウェーヴス』。好評発売中の枠にはロザリアの『ジリオン・ティアーズ』が表記されております。

ブックレットは真っ青なバックに白抜きで「August」の文字に蝶と花が描かれているという、非常にシンプルな図柄。裏ジャケは何かの石膏像でしょうか。
彼らの音楽そのままに、シンプルで穏やかで、それでいてどこか神秘的な印象のあるジャケットデザインです。
プログレはやはりジャケですね。演奏者が楽器を抱えてにこやかに写ってるジャケなんてダサくて嫌です(笑)。そういうのは日本のフュージョン系だけで結構。

バンドについてはこちらのブログ(PROGRESSIVE ROCK ADDICTさん)
こちらのブログ(ひよりの音楽自己満足さん)をごらん頂いた方が早いでしょう。

わたくし、カシマの『8月の印象』の印象としては、「美しい」の一言に尽きます。しかし、ただ「美しい」だけではない、ノリの良さもありつつの「美しい」というものです。そして彼らの音楽にはどこか、物語を感じます。
この感覚は、四人囃子の『一触即発』を聞いた時と何となく似ているように思いました。

1曲目「ナポリを見て死ね!」は、四人囃子の傑作アルバム『一触即発』収録曲の「空と雲」「おまつり」を女性の視線から描き出したような、詩的でありながら最後は激しいギターソロも光る傑作。前半部の、アコースティックギターとピアノをバックに工藤美鈴さんの透き通った声が中空に浮かんでは消えていく様は、四人囃子の「空と雲」で聞けるような、「男の倦怠感」の漂うようなものとは違い、女性の持つ独特の「あきらめ」のようなものを感じます。
7分41秒もありますが、全く飽きることなく何度も何度も聴いてしまうほどの魅力があります。

2曲目は、1分46秒の短い曲「8月の印象」。表題曲にしてはあまりに短いですが、この曲こそが、アルバムに収録された全曲の元素ともいえる曲なのでしょう。この曲の印象を大事にしつつ、他の楽曲を仕上げていったのだろうと思われますが、実際のところはわかりません。

3曲目は「雪」。2曲目「8月の印象」で風鈴が鳴ったり小鳥のさえずりが聞こえたりして思いっきり夏を演出しておいて、雪です。このセンスは素晴らしい。北海道出身ならではの発想のように思えます。
北海道の夏は短く、ところによって違うようですが、熱帯夜も数えるほどしかないと聞きます。夏の夜でも窓を開けていると
寒くて寝られない地域もあるそうで、そんな気候だからか、「8月の印象」もどこか涼しげで、夏の短さを象徴するように楽曲も短いですね。そして3曲目、すぐに「雪」の季節がやってくる。
「雪」は、工藤美鈴さんの美しい声をじっくり堪能出来る曲。やたらおしつけがましくない、余計な要素をそぎ落とした言葉たちが、降り積もる詩の雪となって大地に降りていく。そんな情景が浮かぶような、神秘的な楽曲。

4曲目は「月影」。月影というとジェネシスのアルバム『SELLING ENGLAND BY THE POUND(月影の騎士)』に収録されている楽曲「Dancing with the Moonlit Knight(月影の騎士)」をすぐに思い浮かべます。
Augustはプログレバンドですから、ジェネシスの影響は少なからずあると思いますがことさらリスペクトしてモノマネするようなことはしていないですね。ジェネシスの持つ独特の怪しい雰囲気は全然無いです(笑)
この「月影」では、冒頭に教会の鐘のような音が聞こえてきます。歌詞を見ると「湖」とか「朽ち果てた館」などが出てきます。
これは…洞爺湖?と思って調べてみたら、洞爺湖に「しあわせの鐘」ってのがあるんですね。ということはこの「月影」は洞爺湖の情景を歌った楽曲なのでしょうか。
で「朽ち果てた館」ってのも調べたら、洞爺湖サミット開催時に景観をそこねるということで、2008年に解体されてしまった「洞爺マザー牧場ホテル」というのがあったみたいです。ここは30年以上ずっと廃墟だったらしく、サバゲーの戦場と化していたそうです。
う~む、「月影」洞爺湖説が濃厚になってまいりました(笑)。

5曲目は「夏飼い」。羊飼いのような、夏を飼う人物の物語、でしょうか。夏という季節を擬人化し、夏を飼うという架空の人物が通り過ぎてゆく、そんな印象を持ちました。

6曲目は「青い灰」。このアルバム全体にいえることですが、全て青と白のカラーイメージがあるような気がします。ですからジャケットも青に白抜きの文字なのだろう、と思います。どの曲も、聴いていると青と白のバランスを感じます。
この曲の歌詞で一つ、難しい漢字が出てきます。「旻」なのですが、これは音読みでは「ビン」「ミン」、訓読みでは「そら」「あきぞら」と読みます。三國志好きの方ならわかると思いますが、董卓っていますよね。あいつの弟が董旻(トウビン)。まあそんなことはどうでもいいか(笑)。
日の下に文と書きますが、日の下に天だと、訓読みで「昊(なつぞら)」と読むようです。音読みでは「コウ」。
秋空は、青く澄み切った空をさします。また出てきましたね、「青」が。夏空は日が高く昇った、明るい大空を指します。
青い灰とは、つまりは秋空に浮かぶ雲の情景を指しているのではないでしょうか。また「露」と出てくるのは秋雨を詠ったものではないか、と思います。つまりこの曲は、秋の情景を描いた作品だと思います。
冒頭の靴音と扉の音は、人物が帰宅した様を思い浮かべます。また、歌詞中に「涙」や「夢から醒めぬよう」なんて言葉があることから、失恋して帰宅した人なのかなあ、なんてことを想像してしまいます。恋の夢から醒めないように。
で、最後は何かを燃やしている音。そして靴音。思い出を焼いて次の場所へ向かったのでしょうか。
また、歌詞中の「灰燃ゆる」は、ルネッサンスのアルバム『燃ゆる灰』からの引用だろうと思われます。

7曲目は「春は泡沫」。
他のボーカル曲とは違い、この曲だけ歌詞がわりとポップな雰囲気ですね。楽曲の方もドラマティックな盛り上がりを見せます。昔を思い出しているような歌詞ですが、懐古趣味的なものではなく、やはり少ない言葉で物語を描き出しています。巡っていく季節の儚さを思わせる、本アルバムのクライマックスを彩る傑作です。

8曲目は「8月の印象/リプライズ」。2曲目をもう少し長くした楽曲です。同じ曲ながらアレンジが異なる表題曲を最後に持ってくる辺りは、サウンドトラック的な構成の仕方ですね。これにより、アルバム全体が「8月の印象」というタイトルに集約されていくわけです。つまり、どの楽曲が欠けてもこのアルバムは成立しません。
そして、物語は冒頭へと戻ります。

非常に優れたアルバムです。数多い日本プログレの中でも、突出して素晴らしいと感じました。一生大事にしたいアルバムです。
そして今の夏の季節にこそ聴いてもらいたい。涼しげな楽曲たちが、しばし夏の暑さをやわらげてくれることでしょう。
スポンサーサイト

Category: プログレッシヴ・ロック

tb 0 : cm 0   

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://kashimasan.blog66.fc2.com/tb.php/985-596c37a8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)